なんでもない




明日はお休み
休みの日の前夜は頼もしい
穏やかに麦茶が飲める

お風呂から上がると
いつもタオルケットを頭にのせる
そのままパックを顔にのせて
ベッドで仰向けになるのが日課

今年の夏は夜風が気持ち良い
シーブリーズのせっけんが
肌に心地よくはりつく
い草の匂いがする小さな部屋で
わたしは深く深呼吸をする

この時間に洗濯物を畳むのが好きだ
明日の先取りをした気分になる

今夜は鶏肉が少し焦げた
ただ味付けはとても良かった
夏バテしながらでも
食べれる時に食べておこうと思う
きょうも2リットルの水を飲んだ

去年の今頃は毎晩のように
お酒を飲んでいた気がする
近所にある行きつけの古民家バー
個人営業の小さな居酒屋
冷蔵庫には常にビールが入っていた

今年に入って殆ど
お酒を飲むことがなくなった

毎晩眠る前に麦茶を作っている
寝る前のビールが麦茶に変わった
朝入っていたお風呂は必ず
夜眠る前に済ませるようになった
成る可く夜ご飯は野菜を切って
おかずを作るようになったし
毎朝お弁当を作って
職場に持って行くようになった
眠る前に食器を洗うようになった

毎晩眠る前に
うれしいことを考えるようになった
目を瞑ると昨日みた夢の話を
思い出せるようになった
楽しみにしている日に向けて
カウントダウンをしたり
指折り数える癖が付いた

思い返してみると
毎晩必ず24時前には
眠る準備ができている気がする
まるで子供みたいだと思う
明日はどんな日になるだろう
目を閉じる前に考える

小さい頃を遡ると
休みの日や放課後に
じぶんから誰かを遊びに誘うなんて
滅多にしなかったのを覚えている

沢山の優しいひとたちが廊下ですれ違う度に仲良く笑い掛けてくれたけれど
どのグループの輪の中にも入れるくらい何処にも属さないようなぼんやりとした場所にいた気がするけれど


きっとひとりが楽だったんだと思う
同級生がエンタの神様や水10を
見ている時間にテレビも付けずに
ただ起きていた記憶がある
学校ではテレビの話が持ち切りで
全然分からなかったし詰まらなかった
その番組を見ているのが当たり前のように笑い声は重なって
わたしはそれが苦手だった
重なる笑い声は煙みたいだと思った

未だに大勢が得意じゃない
だから平日の休日がうれしい
誰とも会わない休日もあるけれど
誰かと一対一で話す時間が恋しい
相手の表情に相槌を打つのが好きだ
じぶんとも向き合える時間になる
表情の緩みや強張りを
見逃したくないから目を見て話す

明日は誰と過ごそうかと考える
誰と話そうかと考える

なんでもない日を
何度も何度も繰り返すけれど
待ち侘びているその日に続くなら
いつだってどきどきしていたい


なんでもないけど
話がしたくなるみたいに
なんでもないけど
嬉しくなるみたいに
日々の生活の面白いを
ひとつひとつ摘んで花瓶に生けたい




まつもとまい子

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